--あるトリの話--

その鳥は幼い頃から空を優雅に飛ぶ白鳥にあこがれた

いつかは自分もあんな風に美しく空を自由に羽ばたきたい

そんな夢を実らせるため その鳥は毎日ツバサを羽ばたかせた

大きくなって存分に空を飛び回るため

練習してすぐに飛び立てるため

その鳥は毎日毎日空を見ながら翼をはためかせた


自分は飛べる種類ではないのも知らないで


周りの動物達はいつかそのうち自分で思い知るといって
遠くから笑ってみていた

年月が過ぎ鳥は成長していた

何回白鳥が舞い降りては飛び立っていっただろう


早く自分も共に飛び立ちたい大空を自由に駆け巡りたい


その鳥を笑う者はもういなかった

その光景が日常になってしまったから



鳥の周りには誰もいなかった

誰とも鳥ははなさなかった

話す暇などなかった

あの大空を飛び交うために練習しなければいけなかった



雨の日は木の下で晴れるのを待った

雪の日は穴の中で溶けるのを待った

いつも一人だった でもそれが普通だった

寂しいと思わなかったといったら嘘になる

けれども鳥は毎日空へむかってツバサをはためかせた


飛べないかもしれないも薄々は感じていた



でも鳥はあきらめなかった


ある日少しだけ自分の体が浮いた


鳥は喜んだ


無駄ではなかったという事がわかった鳥は

以前にもまして空へツバサをむけた

動物達はそんな鳥を羨ましくおもった

誰も鳥を笑う者はいなかった



鳥は飛んだ

産まれて初めて飛んだ

産まれて育った森を見下ろした

下では昔笑ってみていた動物達がすごいすごいといって

鳥へ拍手をおくった



鳥は嬉しかった


これからどこに行こうあの白鳥たちは今どこにいるだろう

その前に森の動物達に別れをつげていこう



森へ戻ろうと旋回した鳥は


猟師に撃たれて落ちた




鳥は動物達の穴に落ちた


動物達は鳥を囲み悲しんだ


やっと飛べたのに

今まであんなにがんばっていたのに

笑ったりしてごめんね本当にごめんね

あんなにがんばっていたのに励ましの言葉もいわないで

えらいよ本当に

ごめんねごめんね



口々に動物たちは嘆いた


鳥は嬉しかった


今まで一人ぼっちだと思っていたけど


実は周りにこんなに見守ってくれてた者がいたんだと


こんなに言葉というものは心を暖かくしてくれるのだということを



鳥は嬉しかった




鳥は大きなツバサを地面一杯にのばして




皆に囲まれて眠るというのはこんな暖かいものだったなんて


空よりもこんな近くに素晴らしい場所があっただなんて


損をしたな・・・

疲れちゃったおやすみ・・・みんな



鳥はそういって眠るように死んだ


鳥は飛べた時よりも嬉しそうな表情で


死んだ




鳥は大空へと羽ばたいた



どこまでもどこまでも



どこまでも








  
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